「Layer」: 沖縄の木々を再解釈したスツール

藤原風馬が提案する新たな家具の価値観

沖縄の自然と文化に深く根ざしたデザイナー、藤原風馬が提案するスツール「Layer」。地元沖縄の9種類の木を使用し、廃材をアップサイクルしたこの家具は、自然災害や道路拡張で伐採された木々を活用する新たな価値観を提示しています。

藤原は沖縄の豊かな自然環境と独自の文化に触発され、地元で見られる様々な木々の特徴を活かした家具作りに取り組んでいます。色、香り、質感など、それぞれ異なる特性を持つ木々を組み合わせて作られた「Layer」は、沖縄の木々の魅力を伝える一方で、廃材を有効活用することで地域の持続可能な家具生産にも寄与しています。

このプロジェクトでは、直径の小さい木やスクラップウッドを使用して家具を製作しています。沖縄では自然災害や道路拡張のために木が伐採されることが多いですが、家具を作るためには大きな木材が必要とされます。そこで藤原は、様々な種類の木を組み合わせて木片を作り出しました。これらは廃材をアップサイクルして作られており、カラフルな「沖縄の木」に新たな価値を提案するデザインとなっています。

「Layer」の製作には、廃材を無駄なく使用する方法が求められました。そのため、藤原は木材店や工房で廃棄された小さな木片や直径の小さい木を集め、それらを組み合わせて家具を作り上げました。また、手彫りの座面は優しく傾斜しており、椅子の中央部にあるくぼみが腰を優しく包み込みます。座面と脚部は分解可能で、コンパクトかつ携帯性に優れたフラットパックパッケージで運搬できます。

このプロジェクトは2023年1月に沖縄で始まり、3月には初めての成果物が完成し、東京国際家具フェア(IFFT)で展示されました。沖縄は日本最南端の列島であり、かつては琉球王国と呼ばれていました。沖縄は長い間、日本本土とは異なる文化を持ち続け、異なる種類の木が使用されてきました。20年前には大径の木が沖縄で流通していましたが、最近では流通する木の直径は約35センチメートルとなり、材料が縮小しています。沖縄の家具生産を維持するためには、小さな材料を活用する方法を見つけることが必要であり、そこからこの研究が始まりました。

「Layer」の製作において最も挑戦的だったのは、斜めの層を作り出すことでした。通常、層は水平に作られますが、全ての木を表面に見せるために、層を斜めにすることで表現しました。斜めの層は美しい曲線を生み出し、木の組み合わせにおいても明るい色と暗い色を組み合わせる方法を見つけることに挑戦しました。

このプロジェクトは、直径の小さい木やスクラップウッドを使って家具を作るというアイデアから始まりました。しかし、近年は環境配慮のため道路拡張が減少し、木材も縮小しています。沖縄の家具を続けて作るためには、小さな材料を使用することが必要でした。そのため、「Layer」スツールは、さまざまな種類の木を組み合わせて作られました。これはアップサイクルされた廃材から作られており、廃材から再構築した沖縄の木の価値を提案する新たなデザインです。

このデザインは、2023年のA' Furniture Design Awardでシルバー賞を受賞しました。シルバーA' Design Awardは、優れた専門性と革新性を示す、クリエイティブでプロフェッショナルなデザインに授与されます。これらのデザインは、強力な技術的特性と素晴らしい芸術的技巧を持ち、優れたレベルの卓越性を示し、ポジティブな感情、驚き、ワンダーを引き立てます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: FUMA FUJIWARA
画像クレジット: [Image # 1: Photographer Fuma Fujiwara, Layer Stool, 2023] [Image # 2: Photographer Fuma Fujiwara, Layer Stool, 2023] [Image # 3: Photographer Fuma Fujiwara, Layer Stool, 2023] [Image # 4: Photographer Fuma Fujiwara, Layer Stool, 2023] [Image # 5: Photographer Fuma Fujiwara, Layer Stool, 2023]
プロジェクトチームのメンバー: FUMA FUJIWARA
プロジェクト名: Layer
プロジェクトのクライアント: Fujiwara Fuma


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